2009-01-01から1年間の記事一覧

日本ゲーム業界の悲しみ

ゲームには二つの側面がある。 一つは文化であり、一つはビジネスである。 ゲームについて議論する時はこの2つを分けて考えないと、混乱を招く。 そしてビジネスとしての議論は結論が既に決まっている。 勝者、欧米ゲーム業界。 強者、XBOX360。 巨大な市場…

友は消えて

私が高校生だった頃、 クラスの友人にバカな奴がいて、 別の学校の女子に恋慕して、 奴は その娘の通学に使っている駅で その娘が改札口を通る一瞬を見るためだけに 毎日1時間から3時間くらいベンチに座ってその時を待ち続けていた。 私が高校生だった頃、…

東京国立博物館「皇室の名宝」展1期

先週の話ではあるが、伊藤若冲の絵があると聞いて東京国立博物館の「皇室の名宝」展1期を見に行った。 http://www.bihana.jp/ 若冲の絵は面白い。とにかく圧倒的に面白い。 芸術を理解する感性に乏しい私でも、その娯楽的な愉快さならば理解できる。 若冲の…

開放経済のマクロ経済学基礎(1) 貿易黒字の正体

貯蓄は経済成長の源泉である。 何故なら貯蓄が投資支出に回されることで国内の総生産GDPが上昇するからである。 国全体が貧しくて国民に貯蓄の余裕が少ない国ではいつまで経っても大した投資が行われず、国が発展しない。 国が発展しないから貯蓄も増えず、…

皮肉

大学院時代の先輩が数年前に既に亡くなっていたことを知った。 職場からスクーターで帰宅途中に事故死されたらしい。 研究職は不安定で将来が不安だという理由から、先輩は研究室には残らずに安定した公務員を選択した。 そしてその安定した職場で先輩は将来…

中国地方経済の強気

中国人の不安が生み落とした貿易黒字 - 紙の家の記録で書いたように中国の貿易黒字には減少傾向が見られる。 前回解説したように、中国の貿易黒字の原因は経済発展に取り残された地方にあった。 ならば貿易黒字の減少は地方経済に何かが起きている結果である…

冲方丁「ストームブリングワールド」(☆☆☆)

カルドセプトというゲームの世界観を用いている冲方丁氏のファンタジー小説。 2003年出版のストームブリングワールドを加筆修正した新装版が出たので読んでみた。 ところで私は最近の冲方氏の作品よりは初期の頃の氏の作品の方が好きである。 初期作品の改訂…

山本一郎「ネットビジネスの終わり」(☆☆☆)

ネットビジネスの終わり (Voice select)作者: 山本一郎出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2009/10/22メディア: 新書購入: 7人 クリック: 843回この商品を含むブログ (29件) を見る ネットで有名な投資家、切り込み隊長こと山本一郎氏の著作。 製造業、アニ…

ニセモノはニセモノを知る

評論家の茂木健一郎氏(茂木氏は脳科学者ではないかですって?ハハハ、ご冗談を!)がhttp://www.gei-shin.co.jp/info/art1732.htmlにおいて松井冬子さんの絵を推薦したことを知った。 有名人に擦り寄り、流行りものを取り入れて自分の理論でいい加減な説明…

松井冬子さんの画集を購入し、後悔したことについて

人気がある画家と聞いて松井冬子さんの画集を購入した。 よくあることだが、人気がある作品を見もせずに軽蔑して遠ざけ、それを誉める人をバカにして、自分はマイナーな作品に入れ込み、自分だけは本物を知っていると陶酔する人がいる。 私はそんな態度をと…

現在の中国経済はバブルなのか?

世界不況だというのに、中国経済は好調だ。 上海のA株指数は昨年の11月から60%も上昇し、住宅販売数は昨年の間で85%も増えている。 これを受けて、中国経済はバブルに突入したという見方をする人もいる。 しかし、エコノミスト誌(The Economist October 1…

今日の勉強

リアルタイムOSの学習計画を立てる。秋月電子でルネサス製マイコンH8/3664を購入。 以下の本を読みながら、実際にマイコンで動作させながら基礎的なプログラム手法を身につける予定。ITRONプログラミング入門―H8マイコンとHOSで始める組み込み開発作者: 濱原…

中国人の不安が生み落とした貿易黒字

前回の記事で、私は中国経済の特徴について「投資も貯蓄も大きい」と述べた。 そしてGDPの40%に等しい貯蓄率の高さが、中国の貿易黒字の原因であるとした。 今回はこの貯蓄率の高さの原因について解説した文章を、白井早由里氏の「人民元と中国経済」(P1…

善良なる差別主義者たち

韓国人や中国人のことを人間性が劣った人種だと信じている人が少なからずいる。 そして良識人は彼らのことを精神の愚劣な人種差別主義者だと蔑んでいる。 だが、彼らは本当に愚劣な人種差別主義者なのだろうか? 私はそうは思わない。 確かに直情的で冷静な…

(補足)必要投資率の計算

先日の必要投資率から見た人民元の適正為替レート - 紙の家の記録で用いた中国の必要投資率の計算方法について補足をしたい。必要投資率は以下の式から求める。 I/Y = k (g + d) 上式は恒等式であり、因果関係を表わしているわけではない。 投資率I/Y:国民…

中央銀行の役割について

私は現在の日本の不幸の最大の原因は、官僚の腐敗でもなければ、政治の不在でもなく、道徳の衰退でも、家庭の崩壊でも、巨額な財政赤字でも、グローバル経済でもない。その原因の多くは中央銀行による金融政策の失敗にあると考えている。 現在の日本が抱える…

必要投資率から見た人民元の適正為替レート

経済発展をしている国は通常、貿易赤字になるとされている。 その理由は貿易黒字が「国内貯蓄 マイナス 国内投資」であるからだ。 経済発展している国は盛んに設備投資や人材育成を行うので、国内投資が増える。 すると当然貿易黒字は減り、ついには貿易赤字…

今日の勉強

論理式の簡略化の一つであるクワイン・マクラスキー法を以下のサイトで学習。論理式の簡略化(クワイン・マクラスキー法)今まではカルノー図による簡略化しか知らなかったが、仕事でより複雑な論理式に対応する必要があり本方法を学習した。

中国の貿易統計の読み方

正しい議論は正しいデータから始まる。 中国の人民元論争を論じる時に、絶対に必要になるデータは中国の経常収支、つまり貿易の統計数字である。 だが中国の統計数字は信用できないことで有名だ。 たとえば中国のGDP成長率は地方からの報告を足しあわせると…

無意味な国際競争力論議

国の国際競争力を高めて、貿易黒字を出せる強国を目指そう。 そんな意味不明なスローガンを掲げる人は多い。 彼らは貿易黒字がどのようにして生まれるか理解していないのである。 貿易黒字とは、国内の貯蓄率と国内の投資率の差額である。 つまり日本のよう…

国立西洋美術館「古代ローマ帝国の遺産」

下手な落書きも1000年前のものならありがたがられる。 そんな言葉がある。 どんなつまらないものでも、歴史の重みを加えれば逆に貴重な資料になるということだ。 むしろ、くだらなければ、くだらないほど、数千年前から変わらぬ人の性質を思い起こすことがで…

東京藝術大学「異界の風景」

昨日 散歩していたところ目に付き、閉館直前の東京藝術大学「異界の風景」展へふらりと入場した。 そこで印象に残ったのは以下の作品。 保科豊巳氏の「炎上する記憶」 バキバキという音が聞こえたかと思うと、会場の中に唐突に木造の小屋が建っている。 この…

NHK高校教育講座「地理」におけるEUユーロ普及の解説に対する疑問

NHKの高校教育講座で「ヨーロッパ(1) 〜EU 統合のゆくえ〜」を見た。 そこではユーロについて以下のように解説していた。 EU加盟国の中にはイギリスやデンマークなどのユーロを導入していない国がある。 その理由は (1)ヨーロッパの大国の発言力が大きい…