経済

開放経済のマクロ経済学基礎(1) 貿易黒字の正体

貯蓄は経済成長の源泉である。 何故なら貯蓄が投資支出に回されることで国内の総生産GDPが上昇するからである。 国全体が貧しくて国民に貯蓄の余裕が少ない国ではいつまで経っても大した投資が行われず、国が発展しない。 国が発展しないから貯蓄も増えず、…

中国地方経済の強気

中国人の不安が生み落とした貿易黒字 - 紙の家の記録で書いたように中国の貿易黒字には減少傾向が見られる。 前回解説したように、中国の貿易黒字の原因は経済発展に取り残された地方にあった。 ならば貿易黒字の減少は地方経済に何かが起きている結果である…

現在の中国経済はバブルなのか?

世界不況だというのに、中国経済は好調だ。 上海のA株指数は昨年の11月から60%も上昇し、住宅販売数は昨年の間で85%も増えている。 これを受けて、中国経済はバブルに突入したという見方をする人もいる。 しかし、エコノミスト誌(The Economist October 1…

中国人の不安が生み落とした貿易黒字

前回の記事で、私は中国経済の特徴について「投資も貯蓄も大きい」と述べた。 そしてGDPの40%に等しい貯蓄率の高さが、中国の貿易黒字の原因であるとした。 今回はこの貯蓄率の高さの原因について解説した文章を、白井早由里氏の「人民元と中国経済」(P1…

(補足)必要投資率の計算

先日の必要投資率から見た人民元の適正為替レート - 紙の家の記録で用いた中国の必要投資率の計算方法について補足をしたい。必要投資率は以下の式から求める。 I/Y = k (g + d) 上式は恒等式であり、因果関係を表わしているわけではない。 投資率I/Y:国民…

中央銀行の役割について

私は現在の日本の不幸の最大の原因は、官僚の腐敗でもなければ、政治の不在でもなく、道徳の衰退でも、家庭の崩壊でも、巨額な財政赤字でも、グローバル経済でもない。その原因の多くは中央銀行による金融政策の失敗にあると考えている。 現在の日本が抱える…

必要投資率から見た人民元の適正為替レート

経済発展をしている国は通常、貿易赤字になるとされている。 その理由は貿易黒字が「国内貯蓄 マイナス 国内投資」であるからだ。 経済発展している国は盛んに設備投資や人材育成を行うので、国内投資が増える。 すると当然貿易黒字は減り、ついには貿易赤字…

中国の貿易統計の読み方

正しい議論は正しいデータから始まる。 中国の人民元論争を論じる時に、絶対に必要になるデータは中国の経常収支、つまり貿易の統計数字である。 だが中国の統計数字は信用できないことで有名だ。 たとえば中国のGDP成長率は地方からの報告を足しあわせると…

無意味な国際競争力論議

国の国際競争力を高めて、貿易黒字を出せる強国を目指そう。 そんな意味不明なスローガンを掲げる人は多い。 彼らは貿易黒字がどのようにして生まれるか理解していないのである。 貿易黒字とは、国内の貯蓄率と国内の投資率の差額である。 つまり日本のよう…

NHK高校教育講座「地理」におけるEUユーロ普及の解説に対する疑問

NHKの高校教育講座で「ヨーロッパ(1) 〜EU 統合のゆくえ〜」を見た。 そこではユーロについて以下のように解説していた。 EU加盟国の中にはイギリスやデンマークなどのユーロを導入していない国がある。 その理由は (1)ヨーロッパの大国の発言力が大きい…