(補足)必要投資率の計算

先日の必要投資率から見た人民元の適正為替レート - 紙の家の記録で用いた中国の必要投資率の計算方法について補足をしたい。

必要投資率は以下の式から求める。


I/Y = k (g + d)


上式は恒等式であり、因果関係を表わしているわけではない。


投資率I/Y:国民所得Yに占める投資Iの割合。これが必要投資率。
資本係数 k=K/Y:単位所得Yを得るために必要とされる資本Kの量を表わす。kが10ならば、1のYを得るためには10の資本を必要とする。
成長率g:経済成長にともなう資本の増加率を示す。
償却率d:設備の老朽化、整備、交換にともない必要となる資本の比率を示す。


Valuing the Renminbiによると中国のここ20年の資本係数は2.3となるらしい。*1
そして償却率を5%とする。


ここで期待されるGDPの成長率を10%とすれば必要投資率は35%になる。
2.3 × ( 0.10 + 0.05) = 0.345


やや低めにGDPの成長率を設定して8%としても必要投資率は30%となる。
2.3 × ( 0.08 + 0.05) = 0.299

*1:
ただしここで資本係数が2.3となっている計算方法がよく分からない。
中国のここ10年の投資率は40%前後で、成長率は8%くらいなので資本係数は約5になると私は計算していた。
2.3の2倍になってしまう。
参考にした論文の引用論文
Bosworth, Barry and Susan M. Collins. 2003. “The Empirics of Growth: An Update,”
Brookings Papers on Economic Activity, 2:2003: 113-205
に詳細が書いてあるらしいので、現在探しているところである。
(追記)なかなか見つからない。重要な数値なので論文を追いかけながら自力で導出できるようになれば良い勉強になるはずである。もっと真剣に探すか、論文掲載誌をコピーさせてもらおうと思っている。